「浮浪児の渇き」の主人公の子です。
この女性に初めて公園で会ったときに撮った写真です。
本当にふだんから甘えん坊の子でしたね。
あの公園はとても大いのです。端から端まで歩いたら、十五分以上かかると思います。
なのに、いつもどこかで見ているらしく、公園に入って数分もしないうちに、走ってやってきてくれるんです。そして、手にぶら下がったり、抱きついてきたりするんです。
本には書きませんでしたが、彼女は売春をする一方で、公園で飴玉も売っていました。
写真左角に写っているボックスがそれです。売春で稼いだお金でキャンディーの袋を買って、それを一つずつバラ売りにして、ほんのわずかな利益を得ているんです。
彼女は僕に会うたびに、このボックスの中から飴玉をだしてタダでくれました。
しかし、事情を知っていたので、「ありがとう」といってもらうわけにはいきません。血と涙で手に入れたようなキャンディーですから。
何度も断るのですが、彼女は嫌われたのではないかと思って、泣き出して強引に手渡してくるのです。こうなると、僕としては逆にもらわないわけにはいかなくなります。
仕方なく、彼女の前でキャンディーを口に放り込むのですが、その時の何とも言えない味は今でも舌に残っています。
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