ポルポト時代を生き延びた障害者として登場したヴィシナ―です。

僕は取材をする時は、かならず自分が調べていたことを打ち消す発想をします。
たとえば、ヴィシナ―を取材する前は、リンが登場する地雷障害者の取材をしていました。
この時、町には地雷障害者の物乞いしかいませんでした。そこで、僕は「それなら、地雷障害者以外の物乞いに注目しよう」と考えたのです。
タイの時もそうでした。地元の新聞を読みあさっていたら「マフィアは物乞いをあやつり人形にしている。かわいそうだ」というような論調で書いていました。そこで僕は「逆にマフィアを歓迎している人を探してみよう」と思ったのです。

個人的に、こういう発想は必要なことだと思います。
まず、ひとつのことを調べてみる。そして次に、それを覆すようなことを調べてみる。実は、そうしたところに、思いがけない真実があったりするものなのです。
だから、僕は新聞を読むときも、テレビを見るときも、本を読むときもそうしています。つまり、そこに書かれていることを引っくりかえしたら何が見えてくるのだろうかと考えるのです。そして、何かが見えてきたら、その可能性を信じて、実際に取材をしてみるのです。
ここにこそ、「自分なりの視点」があるんですよね。

たぶん、何の仕事でも同じことだと思いますけど。





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