インドの話の中で「サンタ」というマフィアがでてきます。
写真の男性がそれです。
本には書きませんでしたが、彼は家がありませんでした。
一応拠点のようなものはありましたが、下っ端のチンピラというのは路上生活者同然なのです。
仲間の家で寝泊まりしたり、路上で寝たり、その日暮らしをしているというのが実情です。
彼と何日か一緒に過ごす中で、マフィアもまた「物乞う仏陀」にすぎないのではないかという思いが膨れ上がってきました。
彼も、また彼の仲間たちもみんなストリートチルドレンとして生まれ育ち、マフィアになっていたからです。
本のラスト(チェンナイでの話)では、マフィア(サンタとは別のマフィア)もまたストリートチルドレンだったという話がでてきます。
実は、僕の中でその伏線はサンタとの出会いにあったのです。
彼との付き合いの中でマフィアの実情を知ったからこそ、ラストシーンであるマフィアの告白によって改めて点と点が線になってつながり、「見渡す限り犠牲者だった」という結論に達したのです。
本を書くときは一つの「筋」にするために余分なものを次々と削除してすっきりとした形にします。
しかし、実際の取材はかならずしも「筋」にはなりません。文章にはできない様々な伏線があるのです。この伏線の部分をどう消していくかというのが作品の出来につながってきます。ただ、実は、その伏線の方が面白かったりするので、なかなか削除するのが難しいんですけどね。 |
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