左の写真は、ミャンマーの田舎の村の話にでてくるトンディーさんです。
右の写真は、不発弾でつくられた畑の「柵」ですね。本の中では「戦争文化」として紹介してものです。
実は、このトンディーさんのところには、ガイドと運転手と僕の三人でいったのです。
しかし、このガイドがとんでもない男で、車を勝手に運転して帰ってしまったのです。「眠いから帰る」とかいうバカなことを言い残して。
で、僕と運転手は町にもどれなくなってしまった。
この話のラストは夜中にトンディーさんの家から帰るところで終わっています。しかし、実はそのあと、真夜中の国道に出て、二時間ほど車が通りがかるのを待って、ヒッチハイクをして町に帰ったのです。
さすがに、そんなことはあのストーリーに書けませんでしたが(笑)。
そうそう、この左側の写真のことで一つ思い出があります。
『物乞う仏陀』は文藝春秋から出されましたが、実はその一年ほど前に別の出版社から出される可能性があったのです。
いろんな経緯があって、そこの編集者の方から連絡があり、こういわれました。「とても感動した! 傑作だ! 写真も見たいので是非もってきてくれ」。
僕は少々大袈裟じゃないかと思いつつ、さっそく写真をカバンに写真をつめてその出版社へ行きました。するとその方は左側の写真を見るなりこういったのです。
「お、この藁の上にいるのはトンディーさんだね! 実際の年齢より若く見るよ。教師やっているとそうなるんだろうな」
当時、僕は本の仕事など一度もしたことがありませんでした。それどころか、ひたすら書くたびにボツにされつづけてました。たぶん、一年に千枚分ぐらい原稿を書いて活字になったのは五枚ぐらいでした(笑)。
なのに、超がつく有名な出版社の編集者がそんな人間が書いた文章を丁寧に読んでくれて、登場人物の名前も年齢も仕事も全部憶えていてくれていた。そのことがものすごく嬉しかった記憶があります。
たぶん、僕にとっての「最初の読者」というのは、ずっとその方なんだろうなと思っています。 |
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