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タイの盲目のカラオケ歌手です。
左側の男性は本の中で「ミナイ」という名前で登場しています。
そうそう、この取材のことで、ひとつ思い出深いことがありました。
バンコクなど大都会の暑い国では、夜に働きはじめる物乞いなども珍しくありません。
特に歓楽街には外人を含めた金持ちが集まります。そのため、物乞いや物売りが続々と集まってくるのが常なのです。
バンコクで取材していた時、午後〜夜の歓楽街を中心に物乞い&物売りを追っていました。
その時、僕は英語ペラペラのエリート通訳(留学経験あり)を雇っていました。タイ語がしゃべれなかったので、結構な料金を払って通訳を雇っていたのです
彼は取材の当初から非協力的でした。エリート家庭で育って、裁判の通訳とかまでやったことがある人間です。そりゃ、いきなり物乞いの取材に付き合えといって良い顔をするはずがありません。数分おきにブーブーいってました。
取材を開始して二日目ぐらいだったでしょうか。
楽街を歩いていたら、人が全くいない場所がありました。
そこには、顔面がやけどでただれた老婆が座り込んで、上記のカラオケ歌手のように首から機械を下げて、必至に歌をうたっていました。やけどはかなりひどく、顔から首までがケロイド状態でした。
僕は取材をしようと通訳をせかしました。その国の言葉ができない以上、通訳に先ず話しかけてもらうしかなかったのです。
すると、通訳は突然その場に土下座してこういいました。
「さすがに、あんな女性とはこわくてはなせない。それに、あんな老人と話をしているところを友人に見られたら顔を合わすことができない。だから、どうか勘弁してくれ。お金は全部返すから、もう家に帰らせてくれ」
女性のやけどがあまりにもひどかったので、怖くなって中止を申し入れてきたのです。
正直、こういうことは頻繁にあります。
たぶん、日本人だって同じですよね。エリート日本人通訳をつかまえて、「一緒にホームレスと路上で寝泊まりしましょう」とか、「暴力団の犯罪を追いましょう(何の後ろ盾もない状態で)」といっても断られるのがオチです。
当たり前ですが、これは外国だってそうなのです。むしろ、身分社会がしっかり残っている社会であればあるほど、その傾向は強いと言えるでしょう。
僕はこれを切っ掛けに、いわゆる「通訳」を雇うことを極力避けるようになりました。
そんな状態で訳してもらっても、逆効果ですからね。
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