ノンフィクションの方法 エッセー


文章を書くのは、大変な作業だと書きました。

頭で書く場合は、楽だけど、楽しいとは思いません。
なんというか、流れ仕事をしているような感覚なのです。
たとえば、今日も仕事で二本雑文を書きましたが、何の充実感も、苦労もなく、サラッと書いて提出しました。
いわゆる「仕事」をしているような感じです。

一方、腹で書く場合は、大変だけどやりがいがあります。
いわば、闘っているような感じ? 相手をねじ伏せようとしたり、ねじ伏せられたりするような感覚です。
こちらは「仕事」なんて思いはまったくありませんね。とにかく無我夢中になってやっているだけです。

理想をいえば、この中間が一番お手頃ではあります。
ほどほどにできて、それでいてやりがいがあって、終わった後に充実感がある。それが最良なのです。

そんなものあるのかといわれれば、一つだけあるのです。
その名は、エッセー。

エッセーというのは、大体原稿用紙4枚〜8枚ぐらい。
まず、長さとしてちょうどいいんです。何週間も、何カ月もかけることはない。
書くだけなら一呼吸(一日)で書けてしまいます(書き直しを含めれば何日にもなりますが)。

また、テーマとしても、自分の好きなように書けるし、やりたいことができる。
少なくても「書き捨て」の文章ではなく、「勝負」できる文章なのです。だから重いテーマでもOK。

書き下ろしの本を一冊書くのは、何カ月と化け物と戦争しているような感じです。
しかし、エッセーを書くというのは、必殺仕事人になったような感じ。あるいは、西部劇のガンマン。一撃必殺で、サクッと勝負をつける。変なところを刺してしまえば失敗、うまく刺せば瞬間的に勝負が決まる。
そういう意味では、ものすごくおもしろいし、やりがいがあるし、楽しいんです。個人的に本当に大好きです。
残念なのは、まだまだ未熟ものなので、あまりその戦いの舞台が提供されないということですが(笑)。

ともあれ、去年、そんな必殺仕事人としてやったものの一つがうまく急所を刺したようです。
おかげで先日でた『老いたるいたち―ベスト・エッセイ2007』(光村図書、日本文藝家協会編)という本に掲載されました。
書き手は、僕以外はみな「超」がつく有名な人たちばかりです。なので、もしエッセーというものに興味がありましたら是非ご覧ください。

ちなみに、僕は海外へ行く時にかならずエッセー集をいくつか持っていきます。
文春からでているベストエッセーのシリーズ(日本エッセイストクラブが毎年選ぶもの)が多いですね。
小説を読んだり、ノンフィクションを読んだり、学術書を読んだりするのと、まったく違う味わい深さがあって、寝る前にちょっとずつ読むのにとてもいいんです。それに物の見方の多様性を知る勉強にもなる。

これまでエッセーに興味のなかった方は、一度ゆっくりエッセー集というのを読んでみてください。
きっと新たな発見があると思いますよ。





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