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みなさまはどのように「映像」や「メディア」をご覧になりますか? ちょっと一例を出してみましょう。
この写真はバングラデシュの首都ダッカです。 下町の貧しい地区の路上で暮らす母親と赤子です。
写真の赤ちゃんをご覧ください。 お腹がぷっくりと膨れていますね。
これをご覧になって「貧困と飢え」みたいなテーマを思いつきましたか?
Yes〜残念ながら少々短絡的 No〜妥当
私も失敗ばかりしているのですが、どうしても偏見で物事を見てしまいます。 「ダッカの路上生活者」というシチュエーションの中でこの赤ん坊を見たら、すぐに「あ、飢えてお腹が膨れているんだ」と思いがちです。
しかし、ここで立ち止まって考えてみてください。
お腹が膨れる原因って色々とありますよね? 日本でも考えられることですと、「内臓が腫れる」「腹水」「胃や腸の拡張」「腸閉塞」「腹膜炎」などがあげられます。
仮に栄養失調だとしても様々なパターンがあります。 たとえば、「クワシオルコル」。 これは蛋白質の欠乏とカロリーの不足によってなるもので、腹部の膨満以外にも、浮腫や毛髪異常や肺腫脹など様々な症状があります。 また「マラスムス」なんていうのもあります。 こちらはお腹は膨れません。むしろ筋萎縮が起きたり、皮膚が老人のようにしわくちゃになって垂れ下がったりします。 すなわち、栄養失調一つとっても無数の症状があり、腹部の膨満はその中の一つでしかないということです。
私がいいたいのは、お腹が膨れる原因も、栄養失調によって起こる症状もたくさんあるということです。 だからこそ、写真の赤ちゃんのお腹が何によって膨らんでいるのかは、本来医者がしっかりした検査をしなければわからないはずなのです。
しかし、私たちは物事を偏見で見てしまいがちです。 「貧困の中の子供」という状況があれば、「お腹の膨満=飢餓」と信じてしまいます。
特に「貧困撲滅」とか「戦争反対」とかいう大義名分があったりするそうですよね。 大義名分の下では、なぜかその切り分けが余計に曖昧になったり、二の次になる傾向があるんです。 本当は医者がちゃんと調べなければわからないはずなのに、何も知らない写真家がふらっと現地に赴いて写真を撮っただけで、それが「飢餓による病状」として認定されてしまう。 編集なり校正なりの段階でちゃんとチェックしなければならないのに、なぜか誰も気にせずにノーチェックですり抜けてしまう。 メディアに接する時は警戒をしなければならないのに、その警戒心が薄れてしまう。
大義名分の下では、現実を見る人も、作品を編集する人も、それを見る人も、なぜか物事を鵜呑みにしてしまいやすいのです。 作り手が悪いのか、編集側が悪いのか、見る人が悪いのか。 誰が悪いということではなく、全員が悪いのです。
え? では、この写真は何の症状かって?
ご自身で想像してみてください。 そうすれば、ことの難しさがよく分かりますよね?
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