路上生活者にとって安心できるネグラというのはもっとも大切なものでしょう。

東南アジアだけに話をしぼりますと、ここらの路上生活者の天敵は「雨期」です。
日本でも雨期には、雨がしとしとと長い間つづきます。ホームレスにとってつらい時期でしょう。
しかし、東南アジアの雨期はその比になりません。すさまじい勢いでスコールが降り続き、洪水になります。こうなると路上生活者はお手上げで、木の上やらビルの屋上やら民家の屋根で寝泊りするかありません。

では、雨期さえ明ければ良いのでしょうか。
たしかに気温は高いので、凍え死ぬということはありません。少し寝苦しいぐらいでしょう。
しかしながら、この一帯には「マラリア」があるのです。路上で眠っていることで蚊に刺され、マラリアに感染する恐れがあるのです。

路上生活者はどうやってそれを防いでいるのか。
ここで登場してくるのが「蚊帳」なのです。ご存知かと思いますが、網を張り巡らせることで蚊避けにするためのものです。
(現地にも「蚊取り線香」があるのですが、煙いだけであまり効果がありません)

この写真は、フィリピンの町の一角です。
路上生活者なのに律儀に蚊帳をさげていますよね。これは単なる蚊避けではなく、マラリアを防ぐためのものなのです。
こうした光景は周辺諸国でも多く見られます。カンボジアやインドネシアでもよく見掛けました。路上生活者が寝泊りする場所やスラムのある場所は「川」に近かったりするので、特に蚊が多いということもあるのでしょう。

ちなみに、なぜスラムがある場所や路上生活者が暮らす場所が川の近くかお分かりですか?
スラムというのは不法占拠して立てられた家の集合体のことです。路上生活者の寝床も同じようなものです。
従って、彼らは「川の近く」という追い出されにくい劣悪な地域で暮らすことが多いのです。
(途上国の川は汚い上に、洪水による氾濫が頻繁に起き、さらにはマラリア蚊もでますから「劣悪」なのです)

こう考えると、暖かいからって路上生活に適しているというわけではないことがお分かりになるのではないでしょうか。






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