世の中には、色んな仕事があります。

以前、どこかに出した原稿に「体重量り師」を登場させました。読んで字のごとく、体重を量る仕事をしている人のことです。
しかし編集を担当してくださった方はどうしても納得いかなかったらしく、「これ、どういうことなんだ? なんでそんな商売が成り立つんだ?」と何度も訊いてきました。

南アジアへ旅行される方なら、路上で見かけたことがあるのではないでしょうか。
パキスタンなどではアフガニスタン難民の子がよくこの仕事をしています。靴磨きと、体重計りが並んで商売していることが多いですね。
通行人たちは貧しい難民への哀れみと、ちょっとした体重への興味から体重計に乗って、小銭をあげるのです。社会的な位置づけとすれば、物乞いと大差はありません。

しかし、インド社会における体重量り師はもうちょっと「格」が上です。
パキスタンではアフガン難民の子が物乞いをするように行っていますが、インドでは専門の仕事として認知されています。煙草売りとか、新聞売りと同じような位置づけなのです。
また、インドには「自動体重量り機」ともいうべきものがあります。形はギラギラの派手な自動販売機のような感じですね。小銭を入れて、そこに乗ると、なぜかライトがキラキラ光って、音楽まで鳴って、体重がでてくるのです。
家に体重計がないお国柄ですから、それだけ市民権を得ているのでしょう。

しかし、いずれの国の体重計も大抵壊れていますし、みんな服を着たり荷物を持ったまま測るので、ちゃんとした数値がでないという現状があります。
まぁ、細かいことを気にするような人たちではないので、少々体重が重かろうが軽かろうが関係なのでしょう。
というか、日本人のように1キロの変動で青ざめたり「ぶーぶー」言ったりする方が異常なのです。

ちなみに、体重計の需要というのは豊かさに比例します。
豊かであれば肥満が問題になり、それが体重計の需要を生みます。
逆に、貧しければ、体重計のニーズはあまりありません。インドやパキスタンでいい加減な体重量りが商売として成り立つのはそこらへんに要因があります。肥満人口少なく、体重を知ることの必要性が低いからこそ、いい加減な体重量り師が商売をつづけていられるわけです。

では、日本ではいつ頃過程に体重計が普及したのでしょうか?
実は、日本初の家庭用体重計の発売は、昭和の34年なのだそうです。ということは、普及したのは30年代後半〜40年代半ばといったところでしょう。
僕はこれを知ったとき、「え? こんな最近なんだ」という驚きがありました。皆様はいかがでしょうか?

追伸
僕は昭和の52年生まれです。生まれたときから家に体重計はあったと思います。





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